新築時に創る「外構」で大切なこと

住宅の屋外空間に関するプラン、工事と言っても実に様々。それを、分野別に分け、それぞれのポイントを考えていくことにしましょう。

 

 

「新築外構」は将来の追加、メンテも考え長期計画を・・・


まずは、住宅の新築に関するもの。
本来「新築住宅」というものは、完成度が低く快適な生活を行うためには、様々な付帯物の購入が必要となります。購入条件により異なりますが、一般的には、「家具」「カーテン」「照明器具」「電気製品」「日用品」「住宅設備の補足」「外構・ガーデン関係」など、多岐に渡ります。
「外構・ガーデン」に限定しても、駐車スペース・屋外収納スペース・物干しスペースの確保など、生活にすぐ必要な物から、門・塀・庭廻りなど、デザインやイメージが優先される物まで、様々な付帯物が求められます。
本来は、必要性に応じ少しずつ整えていけばよいのですが、最近は「新築外構」と言う言葉でひとくくりにし、大部分をまとめて作ってしまうケースが多いことは周知の通り。ただ、その場合でも必ず追加は出てくるもので、出来れば、信用ある地元の会社(ショップ)に頼んだ方が安心です。

 

 

新築外構の最低費用は、狭い敷地で坪数の2.5倍、一般的には2倍から


新しく家を建て、さらに外構工事を発注しようとすれば、一番気になるのはどの程度の費用がかかるかという点。でも、初めての人が大多数で見当も付かないと言うのが正直なところです。
注文を受ける会社に、予算を聞かれても「適切であるか」「よけいなことを言って高い見積もりを作られても困る」など、様々な思いから、なかなか提示しにくいもの・・・。一方、会社側としてもできるだけ予算を多く取っていただきたい、と言った思惑もあり、初期段階で明確な解答を出さないところも、多数あります。
そこでつい「相見積もり」を多数取る・・・と言うことになりがち。他社作成のプラン持ち込みでなければ、相見積もり自体はかまわないのですが、結構労力もいるし、実際に初期段階で知りたいのは、細かな金額ではなく「おおよその予算」で、見積書自身それほど役に立ちません。

ここでは、「概算予算」と言う最大の難題に、大胆にお答えしましょう。
まず、最少の費用目安ですが、住宅の敷地坪数(注/敷地㎡数÷3.3=敷地坪数)40坪以下の狭いところでは、その約2・5倍と考えて下さい。例えば、首都圏、関西圏の新興住宅地ですと、30坪程度の敷地が主力。となると、30坪×2.5倍=75万円からということになります。もちろんこの数字は目安で、70、80万円あれば、一応外構としての形は整えられると、判断して頂いて良いでしょう。ただ、これはあくまで最少ラインで、平均的には100万円~150万円と言ったところ。
少し敷地が広くなり、50坪以上の場合は、その約2倍と考えて下さい。つまり、地方都市に良くある敷地60坪程度の場合は、60坪×2倍=120万円程度からと言うこと。平均予算は150万円~200万円と言ったところです。
プラン内容、デザイン、使用する材料、それに宅地と道路の段差の大きさなどで、実際には価格はかなり代わります。もちろん、グレードを上げていけば、予算に上限など無くなります。

しかし、最少ラインの目安を知っておけば、安心感が違います。いくらお金がかかっても良いという方以外は、一応頭に入れておいて下さい。

新築外構の最少予算ライン算定法

敷地が40坪以下の場合
敷地坪数×2.5倍=最少予算

30坪の例
30坪×2.5倍=75万円
(平均ラインは100万円~150万円)

敷地が50坪以上の場合
敷地坪数×2.0倍=最少予算

60坪の例
60坪×2.0倍=120万円
(平均ラインは150万円~200万円)

見積もりを見て高いか安いかを判断するのは、殆ど無意味


次に、本当にお得な外構をゲットするためのポイントを・・・。
よく、見積書を見て高いか安いかを必死になって考える方がおられます。しかし、残念ながらそれは殆ど意味がありません。

理由は2つ。
1つ目は、見積書では目に見えない構造部分、施工技術などの判断が困難で、例え表面に出ている単価等が安くても、本当の価値判断が難しいからです。
2つ目は、もっと重要なポイントで、個々の金額よりプラン内容がすべてに優先されるという点。いくら個々の工事が安くても、お客様の要望を充分満たし、なおかつコスト面も考えた、合理的なプランでないと、結局は「高い買い物」になってしまうからです。

簡単な例で、分かりやすく説明しましょう。例えば、同じレンガで塀と花壇を作ったとします。A社とB社を比較した場合、1㎡単価はA社よりB社のほうが2割程安かったとします。
しかし、プラン内容が異なり、全体の価格では同じになった。しかも、デザイン、使い勝手ではA社の方が遙かに優れていた。こんな例など、枚挙にいといません。この場合、B社より単価は高いが、A社に発註した方が「お得」であることは言うまでもありません。つまり、B社は1㎡の単価は安いが、材料を無駄に使い、しかもそれによりデザインや機能性にマイナスとなるプランしか作れなかったのです。外構で同じ材料を多く使い、逆に作品の質を落としてしまうケースなど、日常茶飯事です。㎡単価の安い高いは、それほど重要ポイントではありません。
見積書より総合的な内容を見て「お買い得」であるかどうかをぜひ判断して下さい。

 

 

入札方式も可能だが、高額物件以外は難しい場合が・・・


同じプラン、設計図をベースに、役所の入札方式のような形で相見積もりを取るというのも一つの方法ですが、あまり現実的ではありません。
この場合、どこかに無料でプランを作成させ、それを他の会社に持っていき見積もりをとり、安いところに発注と言う方式が一般的です。しかし、既に触れたように、それ自体が法律違反になります。当然、良識ある会社は他社で作られたプランで、見積もりすること自体を拒否します。逆に言うなら、簡単にそれを承知するような会社なら、体質自体を疑ってかからなければなりません。それこそ、お客様に取りより大きなリスクとなります。
プラン、設計を専門家に有料で頼み、それで複数の会社から見積もりを取る、と言う方式はもちろん可能です。しかし、1,000万円以上と言った高額物件でないと、現実には設計費用等がなかなか捻出できません。
やはり、質の良い地域のショップにプラン~見積もりを依頼するのが最適。不安があれば、複数の会社でそれを行い、対応・信用性~プラン内容まで総合的な比較で、本当の「お買い得」を見つけ出すのが良いでしょう。

 

 

プラン作成のための、ポイントを正確に伝える


予備知識に関してはここまで。
いよいよ「納得のいく外構づくり」のポイントについて…。
そのためには、「最適のプラン」を作成してもらうことが、大前提となります。
そこで、「最適プラン作成条項」を、分かりやすく列記しておくことにします。

 

「最適プラン作成条項」その1

* 家族の必要条項と、特別条例・地域特約事項の有無を明確に。
家族構成、各人の趣味・嗜好、高齢者の方の健康状況・・・などを、的確に伝えておいて下さい。それにより、絶対に盛り込まなければならない機能、スペースの処理方法などが、変わってくるからです。また、新興住宅団地等に関しては、特別条例、地域特約事項があれば、それも伝えて下さい(土地購入時に特別に指定を聞いていなければ、問題はありません)。

 

「最適プラン作成条項」その2
* 主要外構スペースの方角、宅地&道路面の段差、住宅の位置、等の敷地状況を示す。
敷地の状況を示すのは当然のことですが、難しく考える必要はありません。たいていは「敷地図」「住宅の配置図」があり、それを提示すれば問題ありません。しまい込んで見つからない場合は、ショップのスタッフが現場チェックと写真の撮影を行ない、資料を整えます。その時、方角などを補足して頂ければ充分です。

 

「最適プラン作成条項」その3
* 車の駐車台数と駐車条件を伝える。
まず、何台の駐車スペースが必要か。この時、車の車種、常時駐車しているか、夜と休日のみの駐車など止めていない時間が多いか、と言った状況も合わせて、伝えて下さい。屋外で最大の空間を必要とするのが駐車場。それだけに、このスペースをどのように処理するかで、全体のレイアウトが大幅に変わってくるからです。また、短時間しか駐車していないガレージスペースの場合は、多目的な利用方法を考えないと、大変な無駄をすることになります。

 

「最適プラン作成条項」その4
* デザインに関する要望を明確に。
a/全体的なデザインイメージ。
最近流行の「シンプルモダン」、明るい「南欧風」、バリ島のイメージなどに代表される「アジアンテイスト」、日本の伝統を伝える「純和風」、現代生活に日本の良さを取り入れる「新和風」、など、様々なデザインがあります。全体をどのようなイメージにしたいかを、プランの作成者に伝えることが大切です。
この時、店にある「施工例集」「プラン集」「雑誌」などの資料などを使えば良いわけで、家のデザインとのバランスも考えて下さい。
b/クローズ、セミオープン、オープン。
全体的なデザインイメージとも関係しますが、塀やフェンスで全体を囲む「クローズ」タイプ、門扉+一部分だけのフェンスと言った「セミオープン」タイプ、殆ど仕切りを作らない「オープン」タイプのどれが良いかを決めることも、大切なポイントです。また、プライベート保護、安全面とも関連し、塀、フェンス、ガレージ前のゲート等の希望も、あれば伝えて下さい。

 

「最適プラン作成条項」その5
* 「あなた」と「家族」のこだわりを伝える。
a/小物へのこだわり。
ネームプレート、ポスト、門灯、ガーデンライトは、特に大切なポイント。要望があれば明確に伝えて下さい。その他、どうしても使いたい小物がある、記念となる材料を使ってもらう、子供の手形を入れる、など、小さなこだわりこそ大切にして下さい。
b/材料、形へのこだわり。
小物だけではなく、門、塀、アプローチ、植栽、などの材料、部分的デザインなどのこだわりがあれば、それも大切なポイント。・・・で見た・・・を何としても使いたい。この様な夢こそ大切にして下さい。
c/趣味や生活環境、それに将来へのこだわり。
犬などのペットを庭で飼う、高齢者の方がガーデン作業を行うことが多い、大きな収納スペースが必要、趣味のスペースが必要、その他、それぞれの家庭が持つこだわりについても、的確に伝えて下さい。例え、予算の関係などから、今は何もしなくても、将来の希望も念頭に入れておくことが大切です。

 

「最適プラン作成条項」その6
* 予算の「すりあわせ」なくして、夢の実現は無し。
すでに「予算」の目安に関しては提示しました。これを参考材料の一つとして、プランの作成段階で、必ずおおよその「すりあわせ」をしておいて下さい。不安があれば、お客様から予算を提示しなくてもかまいません。打ち合わせの段階で、ある程度の値段に関する話し合いを行い、お互いにどの範囲の価格ラインにするか、意見調整してからプラン作成の作業に入ること。そうでないと、その後の調整だけで疲れてしまい、相互の不信感を生み出す要因にもなってしまいます。

新築外構の、[6つの最適プラン作成条項]

家 族 状 況

宅 地 条 件

駐 車 車 種

デ ザ イ ン

こ だ わ り

予 算 調 整

細かなことを上げれば、きりがありませんが、以上のポイントを確認しながら臨むと、本当の意味で「お買い得」と言える「作品」を手に入れやすくなり、失敗の危険性も大幅に緩和されます。