◇植物にとっての日陰
日陰だから植物が育たないとか、日当たりがいいのに植物が育たないとかっていう言葉を耳にします。実際に私たち人間が感じる日陰と、植物が感じる日陰とでは随分違います。人は自分の目線の高さまで日が当たっていると日当たりがいいと感じてしまいます。しかし植物は複雑です。日陰にもいろいろと種類があるのです。
日陰の濃さや、時間帯、乾燥の度合いなどを観察することが大切です。例えば、木陰、半日陰、濃い日陰、湿った日陰、乾いた日陰など日陰の性質もいろいろです。木漏れ日を浴びる植物がキラキラときれいに輝いて見える、そんな優しい日陰は人も植物も気持ちよく存在できます。しかし、木陰は木が成長すれば半日陰になって行くかもしれません。人が手を加えて調整する必要がありますね。
半日陰とは、日照時間が限られていたり、西日が当たったりと説明できるような場所の事です。西日が当たる時間で土が乾燥するようなら土に腐葉土を混ぜて保水力を高めるといいですね。直射日光が全く当たらない濃い日陰は木を植えても花が付かなかったり、苔が見えたりします。
屋根から落ちる水が一箇所に集まるような場所は湿った日陰です。こういった場所には水を好む植物を植えるといいですね。例えばギボウシ、シダ、クサソテツなど水辺に生存している植物を考えてみてください。
そして、庭の日陰で一番気を付けないといけないのが乾いた日陰です。日陰と言うといつもジメジメしていると思い込んでしまうのですが、実は乾燥している場合があります。日陰と思っているので水やりも控えめになって土が固くなっていきます。硬くなった土は水を吸収しません。乾燥してしまった土は、できる事なら土壌改良してやりましょう。
だいたい葉の面積が広く、本数が多い、色が濃いといった植物は乾燥が苦手です。乾燥した日陰に強い植物は葉が硬いし、水が好きな植物は葉が柔らかいのです。しかし日当たりが好きな植物を日陰に植えると、花が少なくなりますが葉は綺麗に優しくついています。日陰が好きなシダを日向に植えることによって、だんだん強くなり元気なシダにもなるのです。
植物も生き残る為にだんだん環境に順応しようとしてきます。こうなると植物の使い方も幅が広がります。植物を植えたら、そこからが始まりです。環境の変化に注意しながら、植物の成長を見守りましょう。
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